- 2024.12.25
抜歯からインプラント治療までの期間はどのくらい?
皆様、こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長を務めております木村誠です。
今回は、『抜歯からインプラント治療までの期間はどのくらい?』というテーマで記事を書きます。
抜歯からインプラントの埋入までの期間の違いについて:あなたに合ったタイミングを知ろう!
インプラント治療を考えている方の中には、「抜歯後どのくらいでインプラントを埋められるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実は、抜歯後のインプラント埋入にはいくつかのタイミングがあり、それぞれにメリットや適したケースがあります。本記事では、抜歯即時埋入、早期埋入、待時埋入、成熟側埋入という4つの埋入タイミングについて、わかりやすく解説します。
1. 抜歯即時埋入(抜歯と同時にインプラント埋入)
重度のう蝕により抜歯が必要な状態
抜歯をした状態
インプラントを埋入手し、ヒーリングアバットメント(仮の土台)を装着した状態。
インプラントのスクリュー固定式の上部構造(被せ物)をセット時の状況。アクセスホール(取り外し用のネジにアクセスするための穴)が噛み合わせの面の中央に開いていることからインプラントが適正な位置に埋入されていることが分かります。
アクセスホールを樹脂で塞いで治療終了となります。
特徴
抜歯を行ったその日にインプラントを埋入する方法です。歯を失った部位の骨にインプラントをすぐに入れるため、処置回数を減らすことができます。
メリット
- 治療期間が短縮される。
- 手術の回数が抜歯を含めて1回で済みます。
- 骨の吸収を最小限に抑えられる。
- 審美性が求められる部位(前歯など)で自然な見た目が早く得られる。
適したケース
- 抜歯部位の骨が十分に健康である。
- 骨の極度の感染や急性炎症がない。
注意点
- 骨や歯肉の状態が悪い場合には不向き。
- 術後の注意が必要で、慎重なメンテナンスが求められる。
2. 早期埋入(抜歯から4~8週間後)
歯周病により重度の骨吸収を生じているため、抜歯となりました。
粘膜が治癒する2ヶ月程度経過をまった状態。
骨吸収が大きいことがわかりました。
インプラントの埋入と同時に骨造成を行いました。
抜歯からインプラントの上部構造を装着するまで約1年の期間を必要としました。
特徴
抜歯後、歯茎や骨の治癒がある程度進んだ状態でインプラントを埋入します。骨や歯茎が回復するまで待つことで、より安定した条件で手術を行うことができます。
メリット
- 軟組織(歯茎)が治癒するため、審美性が向上しやすい。
- 骨や歯茎の状態を評価したうえで埋入できる。
適したケース
- 抜歯部位に軽微な感染があったが、治癒が見込まれる場合。
- 審美性を考慮しながらも、治療期間を短縮したい場合。
注意点
- 抜歯即時埋入より治療期間はやや長くなる。
- 骨が不十分な場合には追加の処置が必要になることもある。
3. 待時埋入(抜歯から3~6か月後)
左上の奥歯が歯根破折で抜歯となりました。長期間歯根破折した状態が続いていた為、骨吸収が著しい状況でした。
粘膜の治療(2ヶ月)を待って、1次手術に取り掛かりました。
しかし抜歯した後にできた穴は、大きくインプラントの初期固定を得ることができない状態であったため、骨造成のみを行うこととしました。
骨造成処置時の様子
4ヶ月の治癒期間を待ちました。完全に骨様組織の再生を認めました。
無事インプラントの埋入を行うことができました。
2ヶ月後2次手術を行いました。
上部構造を装着した状態(写真向かって右側)
特徴
抜歯後、骨が完全に治癒してからインプラントを埋入する方法です。治癒を十分に待つことで、安定した骨環境のもとで治療が進められます。
メリット
- 骨が安定しやすく、インプラントの成功率が高い。
- 骨移植や再生治療が必要な場合でも対応しやすい。
適したケース
- 抜歯部位に感染があった場合。
- 骨量が不足しており、骨再生処置(GBR)が必要な場合。
注意点
- 抜歯後の治癒期間が長いため、全体の治療期間が延びる。
- 抜歯後に仮歯などで審美的な対応が必要になることがある。
4. 成熟側埋入(抜歯から6か月以上後)
抜歯後数年経過した状態
抜歯した部分は完全に治癒しているため、準備が整い次第、インプラントの手術が行えます。
最終上部構造を装着した状態。
特徴
抜歯後の骨が完全に成熟し、治癒が完了した後にインプラントを埋入する方法です。時間をかけて骨が安定するため、予測性が高い治療が可能です。
メリット
- 骨や歯茎の状態が十分に整い、インプラントの安定性が高い。
- 最も安全でリスクの少ない方法とされる。
適したケース
- 骨や歯茎に大きなダメージがあった場合。
- 長期間にわたる治癒が必要な症例。
注意点
- 抜歯後の期間に周囲の骨が吸収される可能性がある。
5. それぞれのタイミングの選択ポイント
骨や歯茎の状態を確認
- 骨の量や質、歯茎の状態を診断し、最適なタイミングを選択します。