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  • 2025.01.10

ガミースマイル(笑うと歯茎が見える)とは?原因と治療法を徹底解説!

ガミースマイル(笑うと歯茎が見える)とは?原因と治療法を徹底解説!

「ガミースマイルとは?原因と治療法を徹底解説!」

ガミースマイルとは?原因を徹底解説!

ガミースマイルとは、笑ったときに歯茎(歯肉)が通常より多く露出する状態を指します。これは医学的には「歯肉過剰露出(Excessive Gingival Display)」と呼ばれることもあり、審美的な側面だけでなく、機能的な問題を引き起こすこともあります。この記事では、ガミースマイルの主な原因とそのメカニズムについて詳しく解説します。


ガミースマイルの主な原因

ガミースマイルの原因は、解剖学的、遺伝的、機能的要因が複雑に絡み合っています。以下に代表的な原因を挙げ、それぞれ詳しく説明します。


1. 上顎骨の過成長

歯の位置や骨格の位置の診断には、セファロ(頭部X線規格写真)が必要になります。

  • 説明: 上顎骨(上顎の骨)が過剰に成長している場合、歯茎が過度に露出することがあります。これを「骨性のガミースマイル」と呼びます。
  • メカニズム: 上記のイラストの黄色の矢印が示す上顎骨の突出が大きいと、歯と歯茎が通常の位置よりも前に押し出され、笑顔時に歯茎が目立ちます。

2. 歯の位置や形状の問題

上記の治療前後の写真は、歯の位置および歯の大きさ(形態)に問題があった患者様です。

矮小歯(小さい歯)や歯の一部が歯茎の中に埋もれた状態になっている。

骨格に問題がなくても、歯の位置(主に上の前歯が前方に突出していたり、高位にある場合)ガミースマイルを呈することがあります。

説明: 歯が短い、または歯の萌出が不完全な場合、歯茎が相対的に目立ちます。

メカニズム: これを「歯冠短小症」または「萌出不全」と呼び、歯が完全に露出していないため、歯茎が目立つのです。

上顎の中切歯、側切歯、犬歯の平均的な歯冠幅径(近遠心的な幅)と歯冠長径(歯の長さ)について、日本人を対象とした研究から以下のデータが報告されています。

歯種 歯冠幅径(mm) 歯冠長径(mm)
上顎中切歯 約8.74 約10.68
上顎側切歯 約7.34 約9.0
上顎犬歯 約8.28 約10.0

萌出不全には2種類あり、それぞれについて詳しく説明いたします。

受動的萌出不全(Passive Eruption Failure)と能動的萌出不全(Active Eruption Failure)

1. 受動的萌出不全(Passive Eruption Failure)

  • 特徴: 歯が正常に萌出しているが、歯肉(歯茎)が過剰に覆いかぶさり、歯冠が完全に露出しない状態。
  • 原因:
    • 生理的な歯肉の退縮が正常に進行しない
    • 遺伝的要因や歯周組織の発育不全
  • 影響:
    • 歯が短く見える
    • プラークがたまりやすく、歯肉炎や歯周病のリスクが高まる
  • 治療法:
    • 歯肉切除(歯冠延長術)による歯の露出
    • 歯肉の整形手術

2. 能動的萌出不全(Active Eruption Failure)

  • 特徴: 歯が正常な位置まで萌出せず、骨の中や歯肉の中に埋まったまま、または部分的にしか出てこない状態。
  • 原因:
    • 遺伝的要因や成長異常
    • 萌出のための空間不足(叢生)
    • 外傷や病変による歯の萌出抑制
  • 影響:
    • 噛み合わせの異常
    • 顎の発育不全
    • 咀嚼や発音への影響
  • 治療法:
    • 矯正治療による牽引
    • 外科的な歯の萌出促進

3. 唇や唇の動きの問題

上唇の幅(上記のイラストの矢印の幅)が小さい場合ガミースマイルになることがある。

日本人女性の平均的な唇の厚さに関する情報は以下のとおりです。

  • 上唇の厚さ: 約9mm
  • 下唇の厚さ: 約1.0mm

これらの数値は、女性200人を対象とした調査に基づいています。

また、別の情報源によれば、最も美しく見える唇の平均サイズは、上唇が8mm、下唇が10mmとされています。

これらのデータを参考に、ご自身の唇のサイズを計測し診断致します。ただし、経年的に口唇は上下とも薄くなる傾向があるので考慮する必要がある。

鼻の下から上唇の下端(上記の写真の矢印の長さ)までの長さが短い場合やスマイル時にこの部分が大きく挙上されることでガミースマイルになることがあります。

説明: 上唇を持ち上げる筋肉が過剰に活発である場合、笑顔時に上唇が大きく引き上げられるため、歯茎が露出します。

メカニズム: この状態は「ハイパーモビリティ(上唇過可動)」と呼ばれ、筋肉の過剰な収縮が原因です。

日本人の平均的な人中(鼻の下から上唇までの距離)は約15mmとされています。これに上唇の幅が8mmだと仮定すると23mm前後が平均になります。これより短い場合、ガミースマイルになる可能性があります。


4. 歯肉の過成長

  • 説明: 歯茎そのものが肥厚し、過剰に成長している場合。
  • 原因: 遺伝的要因や、歯周病、あるいは薬剤(抗けいれん薬、免疫抑制剤など)の影響が挙げられます。また不適合な補綴物が装着されるとプラークの沈着を招き、歯肉炎を発症し、歯肉腫脹することがある。

5. 遺伝的要因

  • 説明: 家族内で同じようなガミースマイルを持つ場合、遺伝が関与している可能性があります。
  • メカニズム: 骨格構造や歯茎の形状、筋肉の性質が遺伝的に影響します。

6. 外科的要因や過去の治療

  • 説明: 矯正治療や歯の外科治療の影響で、歯茎が目立つ状態になる場合もあります。
  • メカニズム: 過去の治療で歯肉や歯の位置が変化した結果として発生します。

ガミースマイルが与える影響

ガミースマイルは、審美的な悩み以外にも以下のような影響を与えることがあります。

ガミースマイルは主に審美性の問題

ガミースマイル(Gummy Smile)は、笑ったときに上唇が過度に挙上し、歯茎(歯肉)が大きく露出する状態を指します。医学的には病気ではなく、主に審美的(見た目の美しさ)な問題とされています。


1. 機能的な問題は少ない

ガミースマイルは、ほとんどの場合、噛み合わせや発音、咀嚼などの機能には大きな影響を与えません。以下の点がポイントです:

咀嚼機能 → 歯並びや咬合が正常であれば、問題なく食事ができる
発音機能 → 唇や舌の動きに影響しない限り、会話に支障はない
健康リスク → 歯肉の過剰露出が原因で歯周病になりやすいわけではない

つまり、ガミースマイルは「病気」や「機能障害」ではなく、美的な問題として扱われることがほとんどです。

※注意※

ガミースマイルは主に審美的な問題とされていますが、その原因によっては機能的な問題を引き起こす可能性があります。以下に具体的な例を挙げます。

  1. 上顎の過成長: 上顎骨が過度に発達している場合、噛み合わせの不正(不正咬合)を引き起こし、咀嚼機能に影響を与えることがあります。
  2. 歯肉の過成長: 歯肉が過剰に発達していると、歯周ポケットが深くなり、歯周病や虫歯のリスクが高まります。
  3. 上唇挙筋の過活動: 上唇を引き上げる筋肉の活動が過剰な場合、笑ったときに上唇が過度に上がり、歯茎が露出します。これにより、口腔内の乾燥や口臭の悪化が生じることがあります。

これらの原因が複合的に存在する場合、ガミースマイルは審美性だけでなく、口腔機能や健康にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、ガミースマイルが気になる場合は、専門の歯科医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。


2. 審美性が重要視される理由

美しい笑顔は、顔全体のバランスや第一印象に影響を与えるため、審美歯科の分野で重要視されています。ガミースマイルの影響として、以下の点が挙げられます。

① 笑顔のバランスが崩れる

  • 一般的に、美しい笑顔は上の前歯が適度に見え、歯茎の露出が少ない状態とされています。

② 若々しさとの関連

  • 短い上唇過度な歯茎の露出は、顔全体のバランスを変え、年齢より幼く見られることがあります。
  • 一方で、年齢を重ねると上唇が下がるため、歯茎の露出が減る傾向があるため、ガミースマイルの人は「若々しい印象」とも言われることがあります。

③ 自信の低下につながる

  • 笑顔に自信が持てず、手で口元を隠す、思いきり笑えないなど、心理的な影響を受けることがある。
  • 特に美意識の高い人や人前で話す仕事の人にとって、ガミースマイルは気になるポイントとなることが多い。

エビデンス(出典)

  1. Garber, D. A., & Salama, M. A. (1996). The aesthetic smile: diagnosis and treatment. Periodontology 2000, 11(1), 18-28.
  2. Silva, C. O., et al. (2017). Excessive gingival display: treatment planning and surgical correction. The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry, 37(4), 591-597.

小括

ガミースマイルは多くの原因が絡み合う複雑な現象です。そのため、適切な治療を行うには、原因を正確に診断することが重要です。治療法については次回の記事で詳しく解説します。

ガミースマイルの治療法について詳しく解説!

ガミースマイルはその原因に応じてさまざまな治療法が選択されます。この記事では、治療法を大きく4つのカテゴリーに分けて詳しく解説し、図やエビデンス(出典)も交えて理解を深めていきます。


ガミースマイル治療の主な方法

1. ボトックス注射

  • 概要: 上唇を引き上げる筋肉(上唇挙筋)が過剰に動いている場合、ボトックス注射で筋肉の動きを抑制します。
  • 対象となる患者: 筋肉の過可動性が原因の場合(ハイパーモビリティ)。
  • メリット:
    • 非侵襲的で短時間で施術可能。
    • ダウンタイムがほぼない。
  • デメリット:
    • 効果は一時的(約3~6か月)で、定期的な注射が必要。

2. 歯肉整形(歯肉切除術)

治療前

治療後

  • 概要: 歯茎が過剰に発達している場合に、余分な歯茎を除去して歯の露出を増やす治療法。
  • 対象となる患者: 歯茎の過成長や歯冠の短小が原因の場合。
  • メリット:
    • 永続的な効果が期待できる。
    • 比較的簡単な外科手術。
  • デメリット:
    • 軽度の痛みや腫れが数日間続くことがある。

3. 外科手術(上顎骨の整形術)

  • 概要: 上顎骨が過剰に成長している場合に、外科的に骨を削る手術。
  • 対象となる患者: 骨性ガミースマイル(上顎骨の過成長)が原因の場合。
  • メリット:
    • 根本的な治療が可能。
    • 永続的な効果。
  • デメリット:
    • 全身麻酔が必要でリスクが高い。
    • 長期間の回復期間が必要。

4. 矯正治療

  • 概要: 歯列矯正で歯の位置や角度を調整し、歯茎の露出を減らす。
  • 対象となる患者: 歯列の乱れが原因の場合。
  • メリット:
    • 他の口腔の問題(噛み合わせなど)も同時に改善できる。
    • 非外科的な方法で治療可能。
  • デメリット:
    • 時間がかかる(数か月~数年)。

5.上唇粘膜切除術(Lip Repositioning Surgery)

  • 上唇の内側の粘膜を一部切除し、笑ったときに上唇が上がりすぎないようにする手術
  • 「ハイパーモビリティ(上唇過可動)」と呼ばれ、筋肉の過剰な収縮が原因のガミースマイルを治療する際に用いることが多い。

エビデンス(出典)

  1. Garber, D. A., & Salama, M. A. (1996). The aesthetic smile: diagnosis and treatment. Periodontology 2000, 11(1), 18-28.
  2. Silva, C. O., et al. (2017). Excessive gingival display: treatment planning and surgical correction. The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry, 37(4), 591-597.
  3. Polo, M. (2008). Botulinum toxin type A in the treatment of excessive gingival display. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, 133(2), 195-203.

治療法選択のポイント

  • 原因を特定: ガミースマイルの原因が筋肉、骨、歯茎、歯列のいずれにあるかを診断することが重要。
  • 患者の希望に合わせる: 手軽に改善したいのか、根本的な治療を希望するのかによって選択肢が変わります。
  • コストとリスクのバランス: 手術は効果が高い反面、費用やリスクが高くなるため、慎重な判断が必要です。

まとめ

ガミースマイルは原因によって最適な治療法が異なります。自分に最適な治療法を選択することが大切です。審美治療の進化により、多くの選択肢が提供されているため、笑顔に自信を持つための第一歩を踏み出しましょう。

笑った時に歯茎が見えるのが気になる方は、当院までお気軽にお問い合わせください。

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