- 2024.07.07
すきっ歯(空隙歯列)に対する治療法①
皆様こんにちは。まこと歯科矯正歯科の院長をしております木村誠です。
今回は、すきっ歯に対する治療法をご紹介致します。
すきっ歯(空隙歯列)は、歯の間に隙間ができる状態を指します。この状態の治療法はいくつかありますが、患者の年齢、隙間の大きさ、原因、個々のニーズによって最適な治療法は異なります。以下に代表的な治療法を詳しく説明します。
1. 矯正治療
方法: 矯正装置(ブラケットやインビザラインなど)を使用して、歯をゆっくりと正しい位置に移動させます。
歯の大きさに問題がなく、歯の位置に問題がある場合、矯正治療により歯の位置を変えることで治療できます。
治療前
治療方法(舌側矯正治療)
治療後
メリット:
- 自然な歯並びを実現。
- 長期的な安定性が高い。
デメリット:
- 治療期間が長く(1~3年程度)、費用が高い。
- 装置の装着に伴う不便さがある。
2. セラミックベニア
方法: 歯の表面を少し削り、その上に薄いセラミックのシェルを貼り付けます。
歯の大きさが小さい(矮小歯)場合、顎の大きさとの不調和を生じてしまい、空隙を作ってしまうため、歯を大きくすることで治療できます。
上顎中切歯(左右の正面の歯)間に隙間を認めます。
矯正治療を行うことで隙間を閉じ、上顎両側側切歯(正面から2番目の歯)の矮小歯をラミネートベニアにて修復した。
この症例では、矯正治療を併用しております。治療開始前の口腔内の状況では、修復予定の上顎両側側切歯を適切な形態に回復できるスペースがありません。逆に歯の大きさに問題のない、上顎中切歯は位置異常があります。そのため、まず矯正治療により歯を適切な位置に移動させ、歯の大きさに問題のある上顎側切歯をラミネートベニア(セラミック)にて修復しております。
歯の形態を変える方法には、ラミネートベニアやダイレクトボンディングがあります。このラミネートベニアは大きく形態回復する必要がある時に用います。
メリット:
- 短期間で治療が完了(数回の通院で完了)。
- 見た目が自然で美しい。
デメリット:
- 歯を削る必要があり、取り返しがつかない。
- 費用が高い。
3. ダイレクトボンディング
方法: 歯に直接レジン(合成樹脂)を盛り、形を整えて隙間を埋める。
治療前上顎中切歯間にダイレクトボンディング(お口の中で直接修復する方法)
ラバーダム防湿下で、既存の修復物を除去し、診断用ワックスに基づいて作られたシリコンガイドを用いてダイレクトボンディングを行いました。
すきっ歯に対して、ダイレクトボンディングで修復するのは以下の条件の時です。
歯の位置異常がなく、歯の形態に問題があり、その形態回復量が比較的小さい場合です。
メリット:
- 短期間で治療が完了(1回の通院で完了することも)。
- 歯をほとんど削らない。
- 比較的低コスト。
デメリット:
- 長期間の使用で変色や摩耗が起きる可能性がある。
- 他の方法に比べて耐久性が劣る。
4. インプラント(歯の欠損が原因の場合)
方法: 歯が欠けている部分に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける。
初診時口腔内写真。この症例ですきっ歯(空隙歯列)になっている原因は、①上唇小帯の高位付着②上顎左側側切歯(初診時の向かって正面から2番目の歯)③上顎右側側切歯欠損④歯の位置異常が挙げられます。
これらの原因を解決するために、まず上唇小帯(正中にあるひだ)の切除を行なった後、矯正治療を行い歯の位置を適正な位置に移動させます。その後欠損している上顎右側側切歯部分にはインプラント治療、歯の形態に問題がある上顎左側側切歯は、ラミネートベニア修復を行う計画としました。
矯正治療を行い、欠損している上顎右側側切歯(向かって正面から2番目の歯)にインプラントをできるスペースを作りました。
欠損部の上顎右側側切歯部にインプラントを埋入し、上顎左側側切歯もラミネートベニアにて修復を行いました。
この症例のようにすきっ歯になる要因が複雑に絡みあっている場合は、それぞれをきちんと診断し、対応する必要があります。
メリット:
- 歯の機能と見た目を回復。
- 長期的に安定。
デメリット:
- 外科手術が必要で、治療期間が長い。
- 費用が高い。
まとめ
すきっ歯の治療法は、多岐にわたります。最適な治療法を選ぶには、歯科医師と相談し、個々の状況や希望に基づいて決定することが重要です。どの治療法を選んでも、定期的な歯科検診と適切な口腔ケアが重要です。
当院では、すきっ歯(空隙歯列)になる原因をしっかり診断し、様々な治療オプションを用いて対応致しております。もしすきっ歯(空隙歯列)でお悩みがある方がいらっしゃいましたら、当院までお気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。