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  • 2024.12.29

「お口の健康が鍵!咬む力で始める認知症予防」

「お口の健康が鍵!咬む力で始める認知症予防」

皆様、こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長を務めております木村誠です。
今回のテーマは、「お口の健康が鍵!咬む力で始める認知症予防」です。

歯は、単に食べ物を噛むだけでなく、全身の健康や認知機能に深く関わっています。介護現場での認知症予防を考える際、咬合(噛み合わせ)の安定が非常に重要です。以下に、口腔ケアと認知症予防の関連について詳しく解説します。


口腔内から始める認知症予防の重要性

1. 咬合の安定と脳への刺激

噛む力が低下すると脳に与える悪影響

1. 噛む力の低下が認知症リスクを高める

出典: Okamoto, N., et al. (2010). “The relationship between dietary variety and cognitive function among the elderly.” Journal of Nutrition, Health & Aging.

歯の欠損や噛む力の低下は、認知症リスクを高めることが示されています。特に噛む力が低い高齢者は、認知機能の低下が進行しやすいという結果が得られています。

→噛むことは脳へ直接的な刺激を与え、認知機能の維持に寄与します。

→歯を失い補綴装置(入れ歯やブリッジ、インプラントなど)を使わないままだと、咀嚼能力が低下し、脳への刺激が減少してしまいます。

2. 合わない入れ歯の悪影響

  • 合わない入れ歯を使用すると、口腔内に痛みや不快感を生じ、食事を楽しむことが難しくなります。
  • このストレスは脳に悪影響を与え、認知症リスクを高める可能性があります。

3. 咀嚼能力の低下と全身の健康

噛む力が低下すると脳の機能が衰える

出典: Weijenberg, R. A. F., et al. (2013). “Mastication for the mind—the relationship between mastication and cognition in ageing and dementia.” Neuroscience & Biobehavioral Reviews.

噛む力が低下すると、脳の神経細胞への刺激が減少し、認知機能の低下や海馬の萎縮が加速される可能性があることが述べられています。

→咀嚼能力が低下すると食事内容が偏り、栄養不足や体力の低下を招きます。

→特に高齢者では、これがさらなる認知機能の低下につながることが多いです。


欠損の放置がもたらすリスク

3. 歯の本数と認知症の関連

  • 出典: Takeuchi, K., et al. (2019). “Tooth loss and risk of dementia in the community: the Hisayama Study.” Journal of the American Geriatrics Society.
    • 歯の本数が少ない高齢者は、認知症の発症リスクが高いことが日本の大規模調査で報告されています。特に歯が少ない人は噛む機会が減り、それが脳への刺激不足に繋がると考えられています。
  • 噛む力の低下により食べ物を細かくできず、消化器官への負担が増します。
  • 社会的影響として、人前で食事をすることを避けるようになり、孤立感やうつ状態のリスクが高まります。

対策:認知症予防に有効な口腔ケア

1. 補綴装置の適切な使用

治療前

  • 入れ歯やインプラントを適切に調整し、日常的に使用することで咬合を安定させます。
  • 定期的に歯科医師の検診を受け、装置のフィット感を確認することが大切です。

2. 咀嚼習慣の維持

  • しっかり噛む習慣を持つため、硬さや食感が異なる食材を取り入れた食事を心がけます。

3. 口腔ケアの徹底

  • 歯磨きや舌清掃を日常的に行い、口腔内の衛生を保つことで健康を支えます。

まとめ

歯や入れ歯の状態は、単に食事を支えるだけでなく、認知機能や全身の健康に大きな影響を与えます。認知症予防のためには、咬合の安定を図り、噛むことを意識した生活を送ることが大切です。介護現場においても、患者様の口腔内の状況をしっかり観察し、適切なケアを提供することが求められます。

片側の歯を失うことが引き起こす「噛み合わせ崩壊」の悪循環とその解決策

歯を失うことは誰にとってもショックな出来事です。しかし、それ以上に大きな問題は、歯を失ったままにしておくことで起こる「噛み合わせの崩壊」です。これが全身の健康や日常生活にどれほど影響を与えるのか、実はあまり知られていません。今回は、歯を失ったまま放置することで起こる悪循環と、それを断ち切るための解決策についてお話しします。


片側の歯を失うことが引き起こす悪循環

最初は「片側の奥歯を失った」程度のことでも、そこから始まる悪循環は深刻です。

1. 噛めない側を避けてしまう

片側の奥歯を失うと、その側では噛むことが難しくなり、自然と残っている側の奥歯に頼って食事をするようになります。一見すると問題が解決したように思えますが、この「片側咬み」は残っている側の歯に過剰な負担をかけます。

2. 負担がかかった側の歯が抜歯に至る

一方的に酷使された歯は、やがて摩耗や歯周病が進行し、抜歯に至ることが少なくありません。これにより、食事を支える奥歯が両側から失われ、噛む力を支える機能が急激に低下します。

3. 最後に前歯が悪くなる

奥歯を失ったことで、前歯を使って咬む習慣がつきます。しかし、前歯は細かく砕く力を持つ奥歯とは違い、過剰な力に耐えられる構造ではありません。その結果、前歯の破折やぐらつきが進行し、最終的には前歯まで抜け落ちることになります。

4. 顎機能の崩壊

ここまで来ると、顎全体の噛み合わせ(咬合)が完全に崩壊します。「どこで噛めば良いのか分からない」という状態に陥り、食事そのものが困難になります。また、顎の筋肉や関節への負担が増えることで、頭痛や肩こり、顎関節症といった全身的な症状を引き起こす場合もあります。


悪循環を断ち切るためには?

歯を失った後、最も重要なのは早期に適切な治療を受けることです。この悪循環を断ち切り、再び快適な生活を取り戻すために有効な選択肢の一つが「インプラント治療」です。

インプラント治療のメリット

  1. 失った歯を自然に補う インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込み、そこに人工の歯を装着する治療法です。自分の歯に近い見た目と機能を持ち、片側だけでなく両側でしっかり噛める環境を取り戻せます。
  2. 残存歯への負担を軽減 入れ歯やブリッジとは異なり、インプラントは他の歯に依存せず独立して機能します。そのため、残っている歯に負担をかけず、健康な歯を守ることができます。
  3. 顎の骨を守る 歯を失ったままにすると、顎の骨が徐々に痩せてしまいます。しかし、インプラントは骨に刺激を与えるため、骨の吸収を防ぎ、顎の健康を保つ効果があります。
  4. 全身の健康への影響を防ぐ 噛み合わせが安定することで、食事が楽しめるだけでなく、脳や全身への良い刺激が得られ、健康寿命を延ばす助けになります。

一歩を踏み出す大切さ

歯を失った状態をそのままにしておくのは、健康面でも精神面でも決して良いことではありません。噛む力を取り戻すことで、健康な食事が楽しめるだけでなく、自信を持って笑顔を見せられる日常が戻ってきます。

もし片側の歯を失ってお悩みの方、あるいは現在入れ歯が合わずにストレスを感じている方は、ぜひ一度当院にご相談してみてください。インプラント治療は、あなたの生活の質を大きく向上させる可能性があります。

歯を失う悪循環を断ち切り、健康な未来を手に入れましょう。