- 2024.05.18
なぜ、ブリッジや入れ歯をすると歯が悪くなるのか。
皆様、こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。
今日のテーマは「なぜ、ブリッジや入れ歯をすると歯が悪くなるのか。」です。
まず最初にその理由を説明し、その後それらに対する対処法もお伝えしようと思います。
理由①歯を削るから
これは、入れ歯やブリッジだけに限らず、歯は削れば悪くなります。削る量が増えれば増えるほど悪くなります。特にブリッジは支えとなる歯を平行に削る必要があり、時として神経をとらないといけなくなることもあります。入れ歯でさえ、金具を支持させるためや、着脱方向を規制するために歯を削ります。
上記の患者様の右下の奥歯(写真では、左側)には、ブリッジが装着されていました。また左下(写真では、右側)の奥から2番目の歯も重度の虫歯になっており、抜歯が必要な状態でした。
右下の奥歯のレントゲン写真からブリッジの下の部分が重度の虫歯になっており、保存ができない状態でした。ブリッジにするために、大きく歯を削ることになったことで、虫歯への抵抗力が低くなってしまったのです。
右下の奥歯は、2本とも抜歯し、インプラントのブリッジで対応しました。左下の奥から2番目の歯も、右下の教訓からインプラント治療を行なったことで、奥から3番目の歯は、削らなくて済みました。(なお、左下の一番奥の歯は、虫歯があったため修復しました。)
②力(咬合力)の負担が増えるから
左上(写真では、向かって右側)の犬歯から第2大臼歯(一番奥の歯)にブリッジが装着されています。
初診時のパノラマレントゲンから左上(向かって右側の上の歯)は、奥歯が2歯欠損しており、犬歯から第2大臼歯までブリッジで連結されていました。この時点で歯根破折を認めましたが、患者様に症状がなく経過をみたいと希望されました。
ある日、予想通りブリッジが脱離してきました。レントゲンでも実際の口腔内でも破折していることがお分かりになると思います。
ブリッジの支えとなる歯は、欠損した歯の分の荷重がかかるため、特に神経がない歯は、破折するリスクが上がります。この症例では、5歯分を3歯で支えるワケなので、普通に考えて長期的に安定するわけがありません。
③磨きづらいから
上記の写真のように入れ歯の金具がかかる歯の周囲は歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクを高くする可能性があります。
同じ方ですが、実際根元が虫歯になり、穴が空いています。
入れ歯の金具がかかる歯は、ワンタフトブラシなどを使用し、丁寧に磨かないとこのようなことになります。
④適合が悪いから(精密性に欠けるから)
不適合なブリッジが装着されると、歯と被せ物の間にものが入り、その部分を清掃することは難しくなります。上記のレントゲン写真からブリッジが不適合であり、虫歯も疑われたため、ブリッジの除去を行いました。
ブリッジを除去した状態
ブリッジの支台の歯には、金属の土台(メタルコア)が装着されており、それを除去すると
土台の下には、歯肉の下まで虫歯が進行している状態でしたので抜歯となりました。その後インプラント治療で対応することとなりました。
インプラント治療後の口腔内写真。
同部位にインプラントを行い、連結部分が無くなったことで、歯を磨きやすくなりました。またブリッジのもう片方の歯には、適合の良いセラミック修復を行なったことで、術後4年の現在も安定した状態が続いております。
⑤入れ歯を常時装着できないから
多数の歯が失われると入れ歯の装置も大きくなっていきます。すると違和感が大きくなり、使用できなります。すると噛めないばかりか、残っている天然の歯に負担がかかり、特に神経がない歯は、どんどん悪くなってしまいます。
入れ歯を装着していない状態
入れ歯を装着している状態では、入れ歯を装着していない状態に比べ、義歯の部分は咬合しているが天然歯の部分は全く噛んでいない状態です。
入れ歯を装着していない状態では、前歯が噛んでいるのがわかります。
しかし、入れ歯を装着すると前歯が全く噛んでおらず隙間があるのがお分かりになると思います。これでは、確かに食事をする際、上手く噛めず、またずっと装着していると義歯の部分が痛くなるのも当然です。
義歯の金具がかかる歯は、歯根が破折している状態です。
右上の奥歯は、ブリッジが装着されていましたが、いずれも大きな虫歯になっており、抜歯適応の状態でした。
この患者様は、しっかりとした治療を希望されましたので、全体的な治療をすることになりました。
治療後の状態です。上の歯は、重度の虫歯や歯周病により全て抜歯になり、総入れ歯になってしまいました。しかし、きちんとした義歯を作り、下はインプラントを用いて固定式にすることで、常に入れ歯を装着できるようになり、食事も十分に摂取できるようになりました。
歯を欠損した場合、まずは、インプラント治療を検討しましょう。患者様の多くは、手術の痛みや腫れを気にされる方も多いです。しかし手術の際、しっかりと麻酔し、痛み止めがあれば、ほとんどの場合、大きな痛みなく治療を終えることができます。また治療後は、インプラント周囲炎などにならない限り、痛みに悩ませられることはほとんどありません。
一方、入れ歯は、治療後、痛みや違和感に悩まされる方がたくさんいらっしゃいます。またブリッジは、次に悪くなる時には、一気に複数歯を失ってしまうことを知っておく必要があります。
それでも様々な理由によりインプラント治療ができない場合は、なるべく適合の良いブリッジ・入れ歯を入れるようにしましょう。
歯の価値を知るのは、歯を失った時です。歯をなるべく失わないようにするには、日々のメインテナンスと治療が必要になった時には、なるべく削らないしっかりとした治療を受けることです。
当院では、予防をしっかりした上で、適切な診査・診断のもとインプラント治療を行なっておりますので、歯を欠損してお困りの方は、当院までお気軽にご相談下さい。