- 2024.11.26
短期間で行えるインプラント治療
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Before
治療前
治療前
治療前
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After
治療後
治療後
治療後
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Before
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After
患者 | 女性 |
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主訴・ニーズ | 被せ物が外れたので、治療して欲しい |
診断名・症状 | 上顎左側第1小臼歯重度う蝕 |
抜歯部位 | 上顎左側第1小臼歯 |
治療内容・治療費(自費診療) | 抜歯 抜歯即時インプラント |
治療費総額 | 467,500円(税込) |
治療期間 | 4ヶ月 |
来院頻度 | 月1回程度 |
リスク・副作用 | インプラント治療のリスクと副作用は以下の通りです: 手術リスク: 出血や感染 痛みや腫れ 組織の損傷 骨組織への影響: 骨の吸収や骨密度の低下 骨移植や骨再生が必要な場合がある インプラントに関連するリスク: インプラントの統合不全 インプラントの移動や緩み インプラント周囲炎や骨の損失 感覚や機能への影響: 周囲の組織や神経の損傷による感覚の変化 咬合や噛む機能の変化 審美的な問題: インプラント周囲の組織の変色や縮小 インプラントに関連する審美的な不満足感 全身的なリスク: 全身疾患の影響や悪化 インプラント治療に関連した全身的な合併症の可能性 費用や時間のリスク: 高額な治療費用 長期間の治療期間やリカバリー期間の必要性 これらのリスクや副作用は個人によって異なりますので、治療前に詳しく検討し、リスクとメリットをよく理解することが重要です。 |
皆様こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。
今回は、上の重度の虫歯と診断した歯に対して、抜歯直後にインプラントを埋入した症例をご紹介させて頂きます。
被せ物が外れたので見て欲しいとのことで来院されました。
レントゲンを撮影すると歯を支える歯槽骨の深さまで虫歯が進行していることが分かりました。矯正的な挺出や歯冠長延長術などの外科的な処置を行ったとしても長期的に保存することは難しいと判断し抜歯の適応症であると診断しました。
抜歯となる歯は、第1小臼歯で犬歯(前歯)と第2小臼歯(奥歯)の間にある歯です。犬歯、第2小臼歯ともに虫歯治療を受けたられた形跡がありませんでした。
犬歯と第2小臼歯を大きく削ってブリッジにすることもできますが、その後の歯の崩壊スピードは格段に上がります。
また第1小臼歯は笑った時に見えてくる部分であるため審美的な配慮も必要です。
患者様は、歯に価値観をしっかりと持っていらっしゃる方でしたので、インプラント治療を希望されました。
今回のインプラント治療に際し、留意した点は、なるべく短期間で痛みや腫れも少なく患者様にかかる負担を最小限にできるようにすることです。
それでは、実際のインプラント手術時の様子を示します。
まず愛護的に抜歯を行い、なるべく歯茎を傷つけないようにしました。
いきなりインプラントが入った写真になりますが、切開することなくインプラントを埋入することができました。
なお、糸で縫合しているのは、インプラントと抜歯してできた空隙の部分に少量の骨補填剤とコラーゲンを填入したため、それらが出て行かないようにしているだけです。
側面から見た写真です。ヒーリングアバットメントという仮の土台を装着することで、手術の回数も1回にすることができました。
その後、経過良好のため、手術後2ヶ月の時点で型取りを行いました。
上部構造(被せ物)を装着した状態です。咬合面(噛み合わせの面)にネジ穴が見えます。これはインプラントに上部構造を固定するためのスクリューの穴です。
ほぼ真ん中に穴が空いているのは、上部構造の直下の適正な位置に埋入されていることをしまします。
穴は、コンポジットレジンにて封鎖をします。
治療終了時の写真です。一見天然歯と見間違えてしまう仕上がりです。
今回の治療期間は約4ヶ月。ほぼ最短に近い治療期間で終わることができました。
このような患者様の体に負担の少ないインプラント治療は、すべての患者様に適応できるわけではありません。しかし条件が揃えばこのように短期間でしかも痛みや腫れも少なく治療をすることができます。
当院では、このような治療を実現するために以下に示すサージカルガイド(今回とは別症例)を用いて、安心安全にインプラント治療ができるように工夫しております。
切開しないインプラント治療は、腫れや痛みを軽減するには非常に有効な手段ですが、実は治療の難易度は見えない分難しくなります。
そのため術前のCT等による綿密な診査が必要となります。
またインプラント治療におきましては、埋入した時の初期の固定値が治療成功に非常に影響します。
当院では、埋入するときのトルクとISQ値を測ることで、十分な初期固定が取れているかを確認しております。
こちらがISQ値を測る装置です。
インプラント治療でISQ値(Implant Stability Quotient)を測定する意義は、インプラントの安定性と骨結合(オッセオインテグレーション)の状態を客観的に評価することにあります。以下、具体的な意義を解説します。
1. インプラントの初期安定性を評価
- ISQ値はインプラントが骨にどれだけしっかり固定されているかを数値で表します。初期安定性が高いほど、治療が成功する可能性が高まります。
- 初期安定性が低い場合、治療計画を調整する必要があることを示唆します。
2. 荷重タイミングの判断
- インプラントに人工歯(補綴物)を装着する時期を決定する重要な指標となります。
- ISQ値が高い場合:早期荷重(早めに人工歯を装着)しても安全。
- ISQ値が低い場合:骨結合が進むまで荷重を控え、治癒期間を延ばすべきと判断。
3. 治療の進行状況をモニタリング
- 治療中にISQ値を定期的に測定することで、骨結合の進行具合を追跡できます。
- ISQ値が上昇していれば骨とインプラントが結合している証拠ですが、低下している場合は治療方針を見直す必要があります。
4. 治療の安全性を高める
- ISQ値を測ることで、インプラントの予後を予測しやすくなります。特に骨の状態が良くない患者(骨密度が低い、高齢者、全身疾患のある方)には、リスク回避のための有用な指標です。
5. 患者への説明ツールとして活用
- 数値化された情報を患者に説明することで、治療の進行状況や成功の可能性をわかりやすく伝えることができます。
ISQ値の目安
- ISQ 70以上:非常に高い安定性。
- ISQ 60~69:良好な安定性。通常の治療が可能。
- ISQ 50~59:注意が必要。治療計画を慎重に行うべき。
- ISQ 49以下:安定性が低い。荷重を控え、治療計画を再検討。
まとめ: ISQ値の測定は、インプラント治療の成功率を高め、安全性を確保するために非常に重要です。初期安定性や骨結合の状態を把握し、それに応じた治療を行うことで、患者にとって最適な結果が得られます。
このように抜歯と同時に行うインプラント治療、特に切開をしないフラップレス手術は、手術の回数の減少、痛みや腫れを最小限に抑えることができるため、患者様の身体に負担の少ない方法です。
しかし見えない分治療の手技は難しく、術前のしっかりとした診断、治療技術、設備が必要です。
まこと歯科・矯正歯科では、このようになるべく患者様に負担が少ないインプラント治療に取り組んでおりますので、もしインプラント治療を検討されている方は、お気軽に当院までご相談いただけますた幸いです。