• 2024.04.27

下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

  • Before

    下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

    治療前 咬合面

    下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

    治療前 右側

    下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

    治療前 左側

  • After

    下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

    治療後 咬合面

    下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

    治療後 右側

    下顎両側の奥歯にインプラントを行なった症例

    治療後 左側

患者 50代男性
主訴・ニーズ 下の奥歯にインプラントをして欲しい
診断名・症状 下顎両側第1大臼歯、下顎両側第2大臼歯、左側第2小臼歯欠損 左側第1小臼歯重度う蝕
抜歯部位 右側第3大臼歯
治療内容・治療費(自費診療) インプラント検査 27,500円 サージカルガイド55,000円 プロビジョナル(仮歯)33,000円×3、ポンティック11,000円 インプラント3歯385,000円×3 インプラントブリッジ部のポンティック110,000円
治療費総額 1,457,500円(税込)
治療期間 約1年
来院頻度 月2回程度
リスク・副作用 メインテナンス不良により、インプラント周囲炎になる可能性がある。 インプラントが生着しないことがある。 インプラントの上部構造(セラミック)が破損する可能性がある。

皆様、こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。

今回は、下顎両側の奥歯の欠損に対してインプラント治療を行なった症例をご紹介致します。

初診時の下顎の咬合面観。

初診時に患者様が来院された際、左下の臼歯を抜歯した後、1〜2ヶ月が経過していました。

初診時のパノラマレントゲン写真。両側とも中等度から高度に骨がなくなっている状態でした。また下顎第1小臼歯は歯肉の上に歯質が殆どない状態でした。

骨吸収がある部分には、GBR(骨を造成する手術)を行い、インプラントを埋入する計画を立てました。

また歯質が少ない下顎第1小臼歯は、ソケットシールドテクニックを併用した抜歯即時埋入で対応することにしました。

まずは、右側の臼歯部のインプラント治療から開始しました。上記の写真は、述中の写真になりますが、垂直的にも水平的にもインプラント周囲に骨が不足しているのがわかります。そのため、GBR(骨造成)を併用する手術にしました。

右下のインプラントの1回目の手術が終わり、落ち着いてから左下臼歯部の治療に取りかかりました。上記の写真は、左下のインプラント手術の直前の状態です。下顎第1小臼歯が残根であることがわかります。

白黒写真のため見にくいですが、抜歯の際、根の一部を残しました。一部分、歯質を保存することでインプラントを行なった時のインプラント周囲の骨吸収を少なくできると言われています。この方法をソケットシールドテクニックと言います。これは、低侵襲な治療で痛みや腫れが少ない治療であるため患者様には非常に有益な治療法です。

奥の部分は、インプラント周囲に骨が不足していたため、GBR(骨造成)を併用しました。

2回目の手術は、一度に両側行うこととしました。上記の写真は、手術直前の状態ですが、歯肉の裂開もなく良好な治癒を示していました。

上記の写真は、右上臼歯部の部分ですが、GBR(骨造成)を行なったことで、インプラント周囲に十分な骨を再生することができました。

その後、インプラント部にヒーリングアバットメント(仮の土台)を装着し縫合を行い、手術を終えました。

その後プロビジョナルレストレーション(仮歯)を装着し、経過観察後、大きな問題がないことを確認し、最終補綴(ジルコニアセラミック、スクリューリテイン)を行うこととしました。

治療終了時の下顎の咬合面です。見違えるように良くなり、患者様も満足していただけました。

ここでソケットシールドテクニックについて簡単に説明します。ソケットシールドテクニックは、インプラント治療における新しいアプローチであり、抜歯後の歯槽骨の変化を最小限に抑えることを目的としています。以下に、この手法の有用性について詳しく説明します:

❶骨の安定性の維持: ソケットシールドテクニックでは、インプラント挿入後に抜歯した歯の根の一部を残します。これにより、残存した根の部分が骨の吸収を防止し、周囲の骨の安定性を維持します。

❷ソフトティッシュの保存: ソケットシールドテクニックは、歯茎(ソフトティッシュ)の形態を保持するための効果的な手法です。残存した根の部分が歯茎の収縮を防ぎ、周囲のソフトティッシュの量と品質を維持します。

❸美的な結果の向上: ソケットシールドテクニックは、周囲の骨やソフトティッシュの安定性を保ちながら、美的な結果を向上させることができます。インプラント周囲の骨や歯茎の変化が最小限に抑えられるため、自然な見た目のインプラント治療が可能になります。

❹インプラントの成功率の向上: ソケットシールドテクニックは、インプラントの周囲環境を改善し、成功率を向上させる効果があります。骨の安定性が高まるため、インプラントの統合率が向上し、治療の長期的な成功が期待されます。

総じて、ソケットシールドテクニックは、インプラント治療における骨とソフトティッシュの変化を最小限に抑え、美的な結果と治療の長期的な成功を実現するための有用な手法です。

 

当院は、条件が良い場合は、なるべく低侵襲な治療を選択するようにしております。しかしながら骨や粘膜が不足している部分にインプラント治療をする必要がある場合は、長期的にインプラントが安定するように骨造成や粘膜の移植をすることもあります。

インプラント治療を検討されている方は、当院までお気軽にご相談下さい。