矯正治療

  • 2024.10.23

上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

  • Before

    上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

    治療前正面

    上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

    治療前 右側側方面

    上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

    治療前 左側側方面

  • After

    上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

    治療後 正面

    上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

    治療後 右側側方面

    上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

    左側側方面

  • Before

    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

  • After

    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療
    • 上下の前歯が出ていて、口が閉じにくい方への矯正治療

患者 20代女性
主訴・ニーズ 歯並びが気になる。 矯正治療を検討している。
診断名・症状 上下顎前突
抜歯部位 上下両側第1小臼歯抜歯
治療内容・治療費(自費診療) 矯正精密検査44,000円 矯正治療825,000円 便宜抜歯44,000円(1歯11,000円×4) ラミネートベニア110,000円
治療費総額 1,023,000円
治療期間 約2年
来院頻度 月1回程度
リスク・副作用 矯正歯科治療中に歯の動く痛みを生じることがあります
矯正歯科治療中に歯肉腫脹や歯肉退縮が起こることがあります
矯正歯科治療中に知覚過敏を生じることがあります
矯正歯科治療後に咬合変化が生じることがあります

【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用へのリンク】

皆様、こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。

今回は、上下の前歯が前に出ていることで、口が閉じくくなっている方に抜歯矯正を行った症例をご紹介致します。

初診時の正面からの写真です。上顎の左右正面に位置する歯の形態が非対称であることが分かります。

半開口の写真です。下の前歯部がガタガタしていることが分かります。

上顎の咬合面です。歯列アーチは方形型(歯が横に広がった、比較的四角い形をしている歯並びのことです。前歯から奥歯までが直線的に並んでおり、アーチ型よりも広がって見える特徴があります。この形状だと、噛み合わせや見た目に影響が出やすく、矯正治療で後戻りしやすい場合があります。)になっており、前歯が干渉しやすい噛み合わせであると言われており、右の前歯の形態が欠けているのは、噛み合わせが関係している可能性が示唆されます。

下顎の咬合面です。歯の内側の部分に隆起している部分がありますが、これは、骨隆起と呼ばれており、食いしばりなどがある方に多い所見です。

右側側方面。上下の前歯が前突傾向にあります。

右側の側方運動時。大臼歯(奥歯)同士が当たっていることが観察されます。大臼歯は、垂直的に加わる力に対しては、抵抗力がありますが、側方に加わる力に対しては、抵抗力が低く、知覚過敏や歯周病を増悪させてる要因になる可能性があります。

左側側方面。上下前歯の前突を認めます。

左側も右側と同様に側方運動時に大臼歯同士が干渉していることが観察されます。このように上下顎前突の方は、臼歯が干渉しやすく、様々な揉んだいを生じる可能性があります。また唇が閉じにくいため、口腔乾燥を起こしやすく、虫歯や歯周病のリスクが上がることがあります。

以上の所見から上下顎前突という診断になります。

治療計画としては、叢生があることや上下前歯の前突感を解消するために、上下左右の第1小臼歯(正面から数えて4番目の歯)を抜歯して矯正治療を行うこととしました。

矯正治療開始時。唇側(表側)に装置をつけて矯正治療を開始しました。

左右の正面から4番目の小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して上の前歯を後方に移動させることで前突感を治していきます。

矯正治療開始時の下顎。下顎も左右の正面から数えて4番目の小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して叢生と前歯の前突感を治していきます。

矯正治療開始時の右側。上の第1大臼歯と第二小臼歯との間にアンカースクリューというネジを設置しました。これは、前歯を移動させる際、奥歯が前方に極力いかないようにし、抜歯で得られたスペースを前歯の移動に最大限利用できるために用いております。

矯正治療開始時の左側側方面。左側も右側同様アンカースクリューを用いました。

矯正治療後は、月1回程度の来院をしてもらいました。順調に歯が移動し、治療開始から約2年で装置を除去しました。

矯正治療終了時の正面。歯列が綺麗に整いました。

しかし上顎右側中切歯(写真では、正面左から1番目の歯)の形態が左に比べ、やや小さいことが分かります。

ラミネートベニア(付け爪のようなセラミックの総称)にて上顎右側中切歯の形態を回復しました。

上顎咬合面。綺麗なU字型の歯列になりました。

下顎も前歯の叢生は解消され、綺麗なU字型の歯列になりました。

上下の前歯の角度が適正になり、唇が閉じやすくなりました。

左側も前歯の角度が適正になり、また前歯から奥歯まで緊密に咬合していることが分かります。

矯正治療及びラミネートベニアによる形態の修正を行ったことで、審美性、機能性が向上しました。

最後に今回の症例のように方形型の歯列弓の方のリスクについて説明致します。

方形型の歯列弓(ほうけいがたのしれつきゅう)は、前歯から奥歯までが比較的直線的に並ぶ形状の歯列弓を

指します。この形状には以下のような欠点が挙げられます。

1. 歯列の広がりやすさによる安定性の欠如

方形型の歯列弓は、横幅が広く、歯が広がる傾向があります。そのため、矯正治療後に歯列が再び広がり、後戻りしやすいことがあります。特に、保定装置(リテーナー)をしっかり使用しないと、矯正結果が安定しにくくなることがあります。

2. 口元が目立ちやすい

方形型の歯列弓は前歯が比較的前に出やすいことがあり、口元全体が強調されてしまうことがあります。これにより、口元が突き出た印象唇が閉じにくい状態になることがあります。見た目の美しさに対して不満を抱く方もいるかもしれません。

3. 咬合の問題が生じやすい

広がった歯列は、噛み合わせのバランスを乱すことがあります。上下の歯の噛み合わせが合わなくなることで、顎関節症(顎の痛みや違和感)が発生するリスクがあります。また、噛む力が均等にかからないため、特定の歯に過剰な負担がかかることもあります。

4. 奥歯のトラブルが起きやすい

方形型の歯列弓は横幅が広いため、奥歯が側方に広がりやすく、奥歯の歯並びが崩れることがあります。奥歯が広がりすぎると、虫歯や歯周病のリスクが増加する可能性があります。

5. 審美性に欠ける場合がある

多くの人が理想とする歯列は、少しアーチ状になった形です。方形型の歯列弓は、特に口を閉じた際に唇の突出や、口元のラインが直線的に見えることがあり、自然な柔らかさに欠けると感じられることがあります。

まとめ

方形型の歯列弓は、歯列が広がりやすく、後戻りや噛み合わせの問題が起きやすい形状です。また、口元が目立ちやすく、審美的な問題も発生することがあります。これらの欠点を避けるため、矯正治療では歯列の形を考慮しながら、適切な治療計画を立てることが重要です。

当院では、個々の患者様にあった治療計画を立てて、矯正治療を行います。また矯正治療だけでは変えることができない、例えば歯の形態不良なども一つの歯科医院で完結することができます。

歯並びで悩まれている方は、当院までお気軽にご相談頂けますと幸いです。