- 2024.09.26
インプラント治療(奥歯)の手術回数について
皆様こんにちは。まこと歯科・矯正歯科院長の木村誠です。
今回のブログのテーマは、「インプラント治療の手術回数」について取り上げます。
インプラント治療が臨床応用された当初は、手術の回数は抜歯を含めると最低でも3回程度必要でした。
しかし現在では、インプラント治療の研究が進み、様々なことがわかったことで、手術の回数を減らせるようになってきました。
①抜歯を含めて手術回数1回
抜歯即時インプラント埋入(抜歯をすると同時にインプラントを埋入する手術を行います。)
治療開始前の状態。難治性の根尖性歯周炎になっている上顎右側第2小臼歯(写真向かって右から2番目の歯)を抜歯すると同時にインプラントを埋入する手術を計画しました。
まず粘膜を極力傷つけないように細心の注意を払い抜歯を行います。
インプラントを埋入し、骨補填剤やコラーゲンを入れ、簡単に縫合して手術は終了です。
インプラントの上部構造を装着した状態。中央にある穴は、インプラントに何かトラブルがあっても外せるようにするためのネジ穴です。この後樹脂でこの穴を塞ぎます。
このように条件が良い場合は、抜歯を含めて1回の手術で治療が終了しますし、圧倒的に治療期間が短いのも特徴です。最短で3〜4ヶ月後には上部構造(インプラントにする被せ物)を装着できます。
②インプラントに関連する手術回数1回
(ⅰ)フラップレス手術
フラップレス手術とは、インプラントを埋入する手術の際、大きく歯茎を開かずに、直径4mm程度の粘膜を除去するのみでする手術のことです。
他院で抜歯がされており、十分治癒している状態で当院に来院された時の口腔内写真。
こちらがインプラントを埋入が終わった時の状態です。出血は殆どなく、このような手術で行なったインプラン治療は、痛みもほぼありません。
インプラント埋入直後のレントゲン写真。サージカルガイドという手術支援装置を用いることで、安心・安全にフラップレスで術前にシュミレーションした位置にインプラントを埋入することができます。
治療前
治療後(インプラントを埋入後約3ヶ月で上部構造セット)
こちらのフラップレス手術も手術回数は、1回のみです。しかも手術開始からインプラント埋入までわずか数分で終わります。しかし簡単な手術というわけでは決してありません。しっかりと術前に診査・診断をすることでこのような手術が可能となります。またすべての方が対象になるわけではございません。
(ⅱ)1回法インプラント手術
従来法では、1度粘膜を閉じて、治癒を待って2回目にヒーリングアバットメント(仮の土台)を装着していました。
条件が良い上記の症例では、その2回分の手術を1回目に同時に行うことで手術回数を減らすことに繋がり、患者様の身体への負担を減らすことができるようになりました。
手術直後です。ほぼ出血がないことがお分かりになっていただけると思います。
こちらもインプラント手術後約4ヶ月ほどで上部構造をセットすることができました。
③手術回数2回(抜歯を含めると3回)
重度歯周炎により抜歯となり、粘膜が治癒した状態。
インプラント周囲に骨が足りないため、骨を再生させる必要があります。
同時に周囲の歯の歯周病の改善も行うために、骨補填剤をインプラント周囲に填入した状態。
骨を再生させる必要があるため、縫合して粘膜を閉じました。
半年後2回目の手術で、ヒーリングアバットメント(仮の土台)を装着しました。
その後約4ヶ月で上部構造をセットしました。
治療期間は、抜歯した時点から約1年の期間が必要となりました。
このようにインプラント予定部位の周囲の状況によって手術の回数は大きく変わります。
手術の回数が少ないほど、痛みや腫れなどの症状も少なく、また治療期間も短くなり、患者様への身体への負担を減らすことができます。
逆に重度の歯周病や歯根破折などの炎症がある状態で抜歯をせずにいると周囲の骨が吸収してしまい、いざインプラント治療を行おうとするときにより複雑になり、治療期間も長期化します。
治療期間は、抜歯即時インプラントなどでは、最短3ヶ月程度の治療期間で終了することもあります。骨造成や遊離歯肉移植術などの粘膜を移植する手術が必要になると1年程度かかることもあります。
当院では、患者様に応じてなるべく手術回数を減らし、治療期間を短くするよう心がけてインプラント治療をしております。しかし骨や粘膜の状況が悪い場合は、治療期間が長くなっても、インプラントが長持ちするように、骨造成や粘膜の移植などの高度なインプラント治療も行っております。
インプラント治療をご検討されている方は、当院までお気軽にご相談ください。