審美治療

  • 2024.09.20

歯を削らないブリッジ(接着性ブリッジ)

  • Before

    歯を削らないブリッジ(接着性ブリッジ)

    治療前 正面

  • After

    歯を削らないブリッジ(接着性ブリッジ)

    治療後 正面

患者 30代 女性
主訴・ニーズ 上の前歯の着色が気になる。
診断名・症状 上顎右側中切歯および側切歯 慢性根性歯周炎
抜歯部位 上顎右側第1小臼歯 上顎左側第1小臼歯 下顎左側第1小臼歯
治療内容・治療費(自費診療) 根管治療 抜歯 接着性ブリッジ
治療費総額 341,000円(税込)
治療期間 約半年
来院頻度 月1回程度
リスク・副作用 セラミックの破折 セラミックの脱離

皆様こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。

今回は、「接着性ブリッジ」という治療法を用いて、上の前歯を失った患者様を治療した症例をご紹介致します。

「接着性ブリッジ」は、歯への接着を利用するため、従来のブリッジと異なり、歯を削る量は非常に少なく、歯の長持ちに繋がります。

 

模型上の表側から見た状態

裏側から見た状態

欠損している歯に隣接する歯の裏側に接着させてための翼がついています。

実際の症例をご紹介致します。

右上の正面の歯、写真では、左右逆になるため左上の正面の歯の変色が気になるということで当院に来院されました。

過去に外傷の既往があり、歯が欠けたため、コンポジットレジン(樹脂)で修復されたとのことでした。

レントゲン写真から上顎右側中切歯および上顎右側側切歯は失活(神経が壊死した状態)で、根の先は炎症により骨が吸収している状態でした。

さらに上顎右側中切歯は、歯根が短い上に外部吸収している状態で根管治療では保存できない状態でした。

抜歯をした状態の口腔内です。欠損した歯の両隣接歯は、綺麗な歯であるため、通常であれば、インプラント治療が第1選択となります。

しかしこの患者様は、非常に顎の骨が少なく、インプラント治療を行うには非常に難しい状況でしたので断念せざるを得ない状況でした。

残りの治療法の選択肢としては、入れ歯、かブリッジとなります。

口腔内をよく観察しますと上下の前歯にはスペースがあります。このスペースを利用することで歯を全く削ることなく治療が可能であると判断し、冒頭ご紹介致しました接着性ブリッジという方法で対応することとしました。

接着性ブリッジは接着が肝ですので、しっかりとした接着する環境を整える必要があります。

当院ではラバーダム防湿を行い、上記の写真のように口腔内から歯を隔離した状態で接着操作を行います。

ラバーダム防湿下で接着操作が完了した状態。

治療終了時の口腔内写真

専門の技工所に依頼するため、天然歯と見分けがつかないようになります。患者様からも十分満足して頂けました。

接着性ブリッジ(アドヒーシブブリッジ)**は、欠損した歯を補うために用いられる治療法で、特に歯の欠損が少ない場合に適応されます。以下に、適応症、利点、欠点を詳しく説明します。

接着性ブリッジの適応症

  1. 1〜2本の歯が欠損している場合
    特に、欠損している歯の両隣に健康な歯がある場合に適応されます。
  2. 若年者や高齢者
    インプラントが適応できない患者(成長期の若年者やインプラント手術が困難な高齢者)に適していることが多いです。
  3. 少ない歯質削除を希望する患者
    隣接する歯の削合量を最小限に抑えたい場合に適用されます。従来のブリッジのように大きく削らないため、患者にとっても心理的・肉体的負担が少ないです。
  4. 前歯部の欠損
    前歯など審美的要素が強調される部位で、歯が少し欠損している場合に多く使用されます。

接着性ブリッジの利点

  1. 歯の削合量が少ない
    健康な隣接歯の削合が最小限に抑えられ、歯に対するダメージが少ないです。接着材で隣接する歯に装着するため、従来のブリッジよりも侵襲が少ない治療です。
  2. 審美的に優れている
    特に前歯部の欠損に対して自然な見た目を提供しやすく、審美的な要求が高い患者にとって適しています。
  3. 比較的簡単な手術
    手術が侵襲的でないため、治療期間が短く、手術のリスクも少ないです。比較的短時間でブリッジを装着できることも利点です。
  4. インプラントの代替となる
    手術が困難な患者や、インプラントを希望しない患者に対して、接着性ブリッジは有効な代替手段となります。

接着性ブリッジの欠点

  1. 耐久性が劣る
    従来のブリッジやインプラントと比べると、長期間の使用で接着が弱くなる可能性があります。特に咬合力が強い奥歯では、寿命が短くなることがあります。
  2. 接着の不安定性
    接着材による固定のため、接着部分が剥がれたり外れたりするリスクがあります。特に不適切な咬合や外的な力がかかった場合に問題となることがあります。
  3. 適応範囲が限られている
    欠損歯が多い場合や、隣接する歯の状態が悪い場合には適応が難しいです。また、後ろの臼歯(奥歯)では強い力がかかるため、接着性ブリッジはあまり推奨されません。
  4. メタルフレームの審美性の問題
    金属フレームを使用する場合、笑った時に金属が見えることがあり、審美性が損なわれることがあります。

結論

接着性ブリッジは、歯の欠損を補うための選択肢の一つとして、削合量が少なく、審美的にも優れた点が多い治療法です。ただし、耐久性や適応範囲の制限があり、特に咬合力が強い部位では注意が必要です。

当院では、患者様に合った治療法をご提案いたします。歯のことでお困りの方はお気軽にご相談ください。