- 2024.08.31
歯の色が気になる方へ
皆様、こんにちは。まこと歯科・矯正歯科の院長をしております木村誠です。
今回は、歯の色や着色が気になっている方へ様々な治療法をご紹介致します。
歯の着色・変色に対する治療法
①接着性ブリッジ
治療前
治療後
治療の過程を示していきます。
上の前歯の着色が気になるとのことで来院された患者様です。
上の正面の歯が、変色していることがお分かりになっていただけると思います。
拡大して見てみると、歯の表面にコンポジットレジンという樹脂で修復された形跡があります。
レントゲンをみると、歯根の先に病変を認めました。電気歯髄診(歯に電流を流して、神経が生きているか死んでいるかを調べる検査)に反応を示さない状態でした。
過去に外傷の既往があるとのことでしたので、それにより神経が失活してしまったと考えられます。
歯根は非常に短く、また歯根の先端が吸収してきているため、治療が難しくなることが予想されました。
確かに変色した歯が、気になるところでしょうか。
変色の原因は、古くなった修復物の劣化と神経がない歯の変色であると診断しました。
まずは。保存的に根管治療を行い、補綴治療(被せ物)とウォーキングブリーチ法(神経のない歯のホワイトニング)にて解決する計画を立てました。
根管治療を終了時のレントゲン写真です。これで病変が消失すれば、あとは補綴処置を行うだけでしたが、正面の歯は、サイナストラクトという膿の出口が消えず、治癒を示さない状態でした。
その為、根管治療の専門医にご紹介し、診査してもらいましたが、やはり抜歯の適応とのことで、あえなく抜歯となりました。
抜歯を行い、次にインプラントで治療が可能かどうかをシュミレーションすることとなりました。
非常に狭小な歯槽骨、神経の近接、隣接歯が失活歯であることを考慮し、インプラント治療も現段階では、断念せざるを得ない状況でした。
口腔内をよく観察すると上の前歯と下の前歯とには、空隙を認めます。その為今回は、歯を全く削らずに行う接着性ブリッジで対応することとなりました。
接着性ブリッジを正面から見た状態
接着性ブリッジを裏側(口蓋側)から見た状態
模型から外すとこのような感じとなります。
接着性のブリッジは、いかに防湿した状態で接着できるかが治療成功への肝となります。当院では、ラバーダム防湿下でレジンセメントを用いてしっかりと接着操作をしております。
接着が終了した状態。
治療が終了した状態の口腔内写真。
治療前の歯の変色は、改善し患者様からは十分に満足して頂きました。
通常歯が欠損した場合の第一の治療の選択肢としては、インプラント治療となります。しかし今回の患者様のように歯の欠損部周囲の状況や年齢などにより、必ずしもインプラント治療が最善ではない場合もあります。
②ジルコニアセラミック冠
治療前
治療前の状態は、被せ物の下の天然歯の色が浮き出てしまっており、また歯茎が下がってきていることで、余計に歯茎周囲の部分は暗く見えてしまいます。歯の形態もバラバラの状態でした。
治療後
根管治療を行い、土台のやり直しをして内部の歯の色をコントロールしました。さらに光の透過性の高いジルコニアセラミックで修復しておげることで、歯の変色を改善することができました。また歯の形態を整えることで美しい前歯になり、患者様からも十分満足して頂けました。
③ウォーキングブリーチ(神経のない歯に対するホワイトニング)
治療前
治療後
ウォーキングブリーチ法は、神経を失った歯(失活歯)の変色を改善するための歯のホワイトニング方法の一つです。この方法は特に、歯の内部から行うホワイトニングとして知られています。以下に、ウォーキングブリーチ法の詳細なプロセスを説明します。
1. 治療の準備
- 歯の診査: 変色している歯の状態を診察します。歯の内部に問題がないか(例えば、再度の感染など)を確認し、ウォーキングブリーチ法が適切かどうかを判断します。
- クリーニング: 歯の表面を徹底的にクリーニングし、ホワイトニング剤が効果的に作用できるようにします。
2. ホワイトニング剤の挿入
- 歯の開口: まず、歯の裏側や噛む面に小さな穴を開け、歯の内部(髄腔)にアクセスします。
- 内側の清掃: 歯の内部を清掃し、変色の原因となっている残留物を取り除きます。
- ホワイトニング剤の適用: 適切なホワイトニング剤(通常は過酸化水素や過酸化尿素を含むもの)が歯の内部に挿入されます。この際、ホワイトニング剤は髄腔内に直接置かれます。
3. 仮封と経過観察
- 仮封: ホワイトニング剤が漏れないように、歯の開口部分は仮封材でしっかりと密閉されます。この状態で患者は数日から1週間ほど過ごします。この間にホワイトニング剤が歯の内部に浸透し、徐々に歯の色が改善されます。
- 経過観察: 数日後に再度来院し、色の変化や治療の進行具合を確認します。必要に応じてホワイトニング剤を交換し、再び仮封します。このプロセスを数回繰り返すこともあります。
4. 最終処置
- ホワイトニング剤の除去: 歯が希望する明るさに達したら、ホワイトニング剤を完全に取り除きます。
- 恒久的な充填: 最後に、歯の内部を洗浄し、通常の歯科用詰め物(レジンなど)で開口部を恒久的に充填します。
5. メリットとデメリット
- メリット: ウォーキングブリーチ法は、失活歯の変色に対して効果的であり、歯を削ることなく、歯の内部から色を改善することが可能です。また、施術が比較的簡便であり、外科的な処置が不要です。
- デメリット: 処置には時間がかかることがあり、歯の変色が強い場合やホワイトニング剤に対する反応が遅い場合には、複数回の治療が必要です。また、ホワイトニング剤が完全に除去されなかった場合、歯が再度変色するリスクがあります。
ウォーキングブリーチ法は、適切に行われれば非常に有効なホワイトニング方法です。ただし、歯科医師とよく相談し、個々のケースに最適な治療方法を選択することが重要です。
ラミネートベニア修復
治療前
治療後(ラミネートベニアというセラミックにて修復)
治療前
テトラサイクリング(抗生物質)の影響による歯の変色が全顎的に認められました。
治療終了時の口腔内写真
全顎的にセラミックにて修復を行いました。テトラサイクリングの影響による歯の変色は、通常のホワイトニングでは、効果が出にくいため、セラミックでの対応をすることとしました。
歯の変色は様々な原因により発生します。当院ではそれらをしっかりと診断し、適切な治療法を用いて変色歯の改善を行っております。
もし歯の変色で悩んでいらっしゃる方やお困りの方は、当院までお気軽にご相談頂けますと幸いです。